私は、大学卒業後、一般企業に7年間勤務したあと、介護の仕事につきました。早いもので、25年以上たちましたが、その間いろいろなことを経験し、いろいろなことを学ぶことができたと思います。その一端をお話ししたいと思います。
一般企業から介護の仕事へ
大学時代、障害を持つお子様と接する機会があり、障害を持っている方と関わる福祉の仕事がしたいと思うようになりました。しかし、30年以上前には、そのような仕事はまだまだ少なかったので、とりあえず就職しなければならず、一般企業に就職しました。
7年間、一般企業でとてもやりがいのある仕事をすることができ、学ぶことも多くありましたが、どうしても福祉の仕事がしたいという思いを抑えきれず、たまたま新聞の求人欄に載っていた特別養護老人ホームの介護士に応募し、雇っていただけることになりました。
勤めていた企業の上司は、はじめは引き留めてくださいましたが、わたしの思いを聞き入れてくださり、快く送り出してくれました。
介護福祉士を取得するまで
今まで障害を持った方と接する機会はありましたが、お年寄りの方と接する機会はなく、おまけに特別養護老人ホームという、当時もっともきついと言われていた仕事でしたので、はじめはとまどいました。
1日の間に何回も行われるおむつ交換から始まり、食事 介助、入浴介助、その他、人が生活していく上で必要ないろいろな生活行為のお手伝いをすることは、とても大変でした。
しかしずぶの素人の私を、利用者様も職員の皆様もあたたかく指導してくださり、仕事の大変さより、大好きな利用者様と関わることの楽しさが次第に増していきました。
その中で、介護のひとつひとつの方法に、根拠があり、理由があることを学び、介護の仕事をより深く学び、プロとしての介護士になりたいと思うようになり、介護福祉士を取得しました。
社会福祉士を取得するまで
数年たって、特別養護老人ホームの介護士から、当時開設されたデイサービスの介護士に配属されました。
当時は新しい事業でしたし、それまでの施設とは違い、在宅のお年寄りが利用されるということで、また違った見方、対応の仕方が求められ、そこでも多くのことを学ぶことができました。
在宅では、当時の集団生活の場という状況の施設と違って、一軒一軒でその介護のあり方が違い、利用者様それぞれの生活があるという、当たり前のことを認識することができました。これは施設であろうと、在宅であろうと、大切なことであることを、のちのち気づくことになりますが、当時は「こんなに違うんだ」と思った記憶があります。
在宅のお年寄りの、お宅での様子を目にするようになり、デイサービスだけでは、解決できない問題が多くあることがわかってきた頃に、在宅介護支援センターに配属になり、そこで相談業務を行う中で、相談援助技術を勉強することが必要と考え、社会福祉士を取得しました。
介護支援専門員を取得するまで
社会福祉士の資格を取って翌年に、介護保険が始まるということになり、それまで在宅介護支援センターの相談員が行っていたことと同じようなことを、「介護支援専門員」という新しい資格ができて、それで行うということを知り、在宅介護の仕事をもっとやりたいと思っていましたので、介護支援専門員を取得しました。
在宅介護支援センターの相談員は、「広く浅く」でしたが、介護支援専門員は、「狭く深く」という仕事の内容になりました。
ますます、さまざまな人の生活と深く関わることになり、相談援助技術の大切さを肌身で知り、それを極めることで、利用者様により良い生活を送っていただくお手伝いをすることを目標に仕事をしました。
まとめ
介護支援専門員を15年やり、その後独立して、ひとりで介護支援専門員の事業所を立ち上げましたが、赤字続きで事業はやめざるを得ませんでした。
しかし介護という仕事は、利用者様の人生に寄り添っていく仕事ですので、ある意味利用者様と苦楽を共にし、一心同体というような面があります。
つらいときもありますが、利用者様と一緒にその何倍もの喜びを得ることができる仕事だと思っています。どの仕事でも同じですが、介護の仕事も、技術を使って仕事をすることになりますので、誰でも技術を身につければできる仕事ですので、多くの方に来ていただきたいと思います。