高齢になると残っている歯が少なくなってきます。厚生労働省によると、75歳以上の高齢者のうち3人に1人は総入れ歯を使用していることがわかっています。しかし、入れ歯の正しい手入れ方法を知らない人も多いでしょう。そこで今回は、入れ歯の正しい手入れの方法を紹介します。
入れ歯の清潔は健康に繋がっている
入れ歯は直接口の中に入れるものですので、常に清潔にしておかなければなりません。もし、きちんと洗浄せずに使用してしまうと、細菌が繁殖してしまい、口臭や口内炎などの口腔内のトラブルを起こすこともあります。
特に口臭を気にする高齢者は多く、口臭が原因で周りとのコミュニケーションに消極的になっている人もいるでしょう。
また寝ている間に口腔内の細菌が気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎の原因になることも。
つまり、入れ歯を清潔に保つことは、全身の健康に大きな影響を及ぼしているのです。ですから、入れ歯はきちんと手入れをして、清潔を保つ必要があると言えるでしょう。
入れ歯の手入れ方法の基本を押さえよう
入れ歯は外している期間が長くなると、歯茎が痩せてきて合わなくなってしまいます。起きている時間はできるだけ装着するようにしてください。
そして、毎食後に外してきちんと洗浄することが大切です。それでは、入れ歯の手入れの基本を見ていきましょう。
入れ歯専用の歯ブラシを使おう
入れ歯は1人1人に合わせた形をしています。歯茎にぴったりと合うよう、複雑な形になっています。そのため、普通の歯ブラシでは磨きにくいこともあるでしょう。
丁寧に隅々まできれいにするためには、ぜひ入れ歯専用の歯ブラシを使ってください。介護用品店やドラッグストアでも売られていますが、いまは百円ショップでも気軽に購入することができます。
歯磨き粉の使用はやめよう
入れ歯が汚れていると、つい歯磨き粉を使ってきれいに仕上げたいと思いがちです。しかし歯磨き粉には研磨剤が含まれているため、入れ歯に使ってしまうと細かい傷がついてしまいます。入れ歯の汚れは、歯ブラシと流水できれいに洗い流すことができます。
もし歯磨き粉を使いたい場合には、入れ歯専用のものを使うようにしましょう。
水を張った洗面器の上で洗おう
入れ歯の洗浄時には水を使うため、手が滑ってしまうことも考えられます。入れ歯は保険適用であっても、比較的高価なものです。
うっかり落として損傷してしまうと、修繕は時間がかかりますし、最悪の場合には作り替えをしなくてはいけません。入れ歯を使っている人にとっては、必要不可欠な物なので大切に扱いましょう。
特に、洗浄時にはしっかりと入れ歯を持って洗います。そして水を張った洗面器の上で洗うようにし、仮に落としてしまっても壊れないような工夫をしておきましょう。
義歯洗浄剤も使ってより清潔を保とう
入れ歯の汚れは、歯ブラシでの洗浄だけでも十分に汚れは落とせます。しかし目に見えない汚れもあるので、より清潔を保つためには義歯洗浄剤も使いましょう。義歯洗浄剤を使うと、目に見えない汚れを浮き上がらせてくれます。
ただし、義歯洗浄剤は漬けておくだけで汚れを取り除くものではありません。一定時間浸した後は、必ず歯ブラシを使って流水で洗い流しましょう。また、浸す容器を洗わずにいると、容器に細菌が繁殖してしまいます。容器も忘れずに洗い、使わない時にはしっかり乾燥させておきましょう。
まとめ
高齢者にとって入れ歯は、美味しく食べるために大切な体の一部です。入れ歯の手入れの基本を守り、丁寧に扱えば入れ歯も長持ちさせることができます。少しでも長く健康な生活を送るためにも、入れ歯を清潔に保つことを心がけましょう。