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【買い物難民】高齢者にとって厳しい環境を救うには?

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【買い物難民】高齢者にとって厳しい環境を救うには?

高齢者の「買い物難民」を救う!

経済産業省は「容易に日用品の購入ができず困窮している住民」を「買い物難民(別名:買い物弱者)」と定義し、現在の日本では約700万人存在すると言われています。今回は、近年の社会的問題として今後の増加も懸念されている「買い物難民」についてお話ししたいと思います。

買い物難民の定義

過疎化が進む山間部などでは以前より問題視されてきましたが、近年では都市部においても買い物難民が出現。そのため社会問題としても取り上げられるようになり、その原因の究明と対策が迫られています。
経済産業省の定義と異なり、農林水産省は「自宅からスーパーまでの距離が500m以上あり、かつ車を所持していない人」を買い物難民としています。
同省の推計によると全国で買い物難民は約850万人(うち高齢者は400万人)。こういったスーパーが遠く車を持っていない高齢者の買い物難民数は居住人口の多い都市部が上位を占め、また地方圏よりも顕著に増加しているのです。

買い物難民の大きな原因

最近では大規模な商業施設が目立つようになりました。そこに行けば何でも揃い、何軒ものお店を回らなくて済む仕組み。スーパーも広大な駐車スペースを用意し、大勢の客を取り込むことで低価格化を実現し、また顧客もそれを求めて集まってきます。地域の消費事情に合った街づくりを目的とした「まちづくり三法(大規模小売店舗立地法・中心市街地活性化法・都市計画法/1998~2000年)」は思うように機能せず、地方都市を中心に商店街の空き店舗は拡大。一方、巨大ショッピングモールからは多額の固定資産税が見込め、また地主には借地料が入ってくるため、地方自治体と地主にとっては好影響をもたらす形態です。地域の小売商店街を保護する効果もあった「大規模小売店舗法」も、日米構造協議の結果からか2000年に廃止されることになりました。かくして巨大ショッピングモールの建設に伴い地域の購買活動を担ってきた商店街は衰退していき、地方でも都会と変わらぬ消費生活が送れるアメリカ的な生活様式が参入してきたのです。

買い物難民の解消に向けて

買い物難民への対策は発生要因が複雑で、解消は容易ではありません。管轄する官庁も、経済産業省・農林水産省・国土交通省・厚生労働省と多岐に渡っており、また複雑に絡み合っているのです。そんな中でも民間企業による救済措置は開始されていて、少なくとも一定の効果を上げているようです

まず対面式の販売に慣れている高齢者に向けたサービス「移動型スーパー」。大型スーパーと提携している個人事業者もいて、品目数では劣るものの、高齢者が必要である品物が十分に選定されていて、何と言っても自宅前もしくは近隣まで運んでくれて自身で品定めできる方式は、大いにニーズに沿ったサービス形態ではあります。しかし、まだまだ需要に追いつくほど実施している業者は少なく、新規参入を促進できるようなビジネスモデル構築が今後の課題と言えるでしょう。

高齢者でなくてもよく利用しているのが「宅配サービス」。一律送料がかかったり、購入金額に応じて送料が設定されていたりするため、余分に費用がかかりますが、電話や注文シートに記入すれば必要な物を定期的に宅配してもらうことも可能なため、買い物に要する労力は少なくて済む点がメリットです。近年では遠隔操作ができるドローン(無人航空機)により、山岳地帯などへ物資を運ぶ試みも開始されています。

高齢者にこそ利用して頂きたいのが「ネット通販」。インターネットの環境整備やクレジットカードの用意など、開始するまでに準備する項目が多く、それ以外でもやはり高齢者が新しいことを始めるハードルの高さが難問ではあります。とは言え、使い勝手や利便性を考えると、ネット通販は買い物難民対策として、最も適していると言えるのではないでしょうか。

まとめ

時代の波に押され、影を潜め始めた地元商店街とそれにより発生した買い物難民。結局資本主義社会においては、いつでも利潤追求型がよしとされ、人々がそれに従うような仕組みが出来上がります。無論、利益を生むということは、人々に認められているということでもあります。止まらない変化を嘆くのではなく、巧く操る術が必要なのです。関係各庁や自治体には、せっかく発展したITを高齢者も活用できるよう、その基盤構築からの後援を期待したいと思います。

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