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現役介護職が思う「認知症」とは

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現役介護職が思う「認知症」とは

認知症のブロック
 認知症とは、一般的には「時間や場所、人が分からなくなる病気」「何も出来なくなっていく病気」とされています。私も介護施設で働くまでは、そう思っていました。
 しかし介護施設で働くようになり、様々な人と関わる様になりました。そして今は、「認知症になっても、その人の本質は変わらない」という考えに変わっていきました。
 なぜ私がそのように変化していったのか、いくつかの経験談を元にお伝えしていきます。

昔のことは覚えている

 認知症の人は記憶力が著しく低下し、数分前のことを忘れています。ある利用者(以下Aさん)もその症状があり、同じことを何回も職員に聞いてきます。頻繁に聞いてくるので、職員も困ってしまうこともあります。
 ある日、Aさんが昔の特集をしているテレビを観ていました。するとAさんは「昔もこの辺りは田んぼだったのよ」と、昔のことをスラスラと職員に教えてくれました。
 その時のAさんの表情は、いつも同じこと聞いてくる不安げな表情と違い、とても穏やかでした。この時に、「最近のことは覚えていなくても、昔のことは覚えているのだな」「昔のことを懐かしいと思う気持ちは、忘れていないのだな」と感じました。

身体に染み付いたことは覚えている

 別の利用者(以下Bさん)は、「自分がどこにいるのか、なぜここにいるのか」分からない為、不穏な行動を取ることがありました。落ち着きがなく他の利用者様の部屋へ入ったり、外へ出ようとしたりしたこともありました。

 そんなBさんですが、長年主婦をやってきたので、家事全般が得意です。皿洗いや皿拭き、洗濯物畳みなどをお願いすると、快く引き受けてくれます。しかも、早く丁寧にやってくれるのです。家事をやっているときは、不穏な様子もなく、他の利用者様と談笑しながらやっています。 
 長年やってきて身体に染み付いたことは、認知症になっても出来るのだなと感じた出来事でした。

ありのままで接することが出来る

 私が認知症の人と関わって大きく変わったことは、「ありのままで接することが出来る」ということです。
 社会人として働いていると、どうしても建前などを気にし、本音を言わないことが多いです。
 しかし認知症の人は、素直な人が多いです。なので職員である私達も、素直に接することが出来ます。建前など気にしないで話すことが出来るので、普通の人と話をするよりも、利用者様と話をする方が楽しく感じるようになりました。
 また認知症の人に作り笑顔をしても見破られるということも分かりました。なので、自然に笑うようにすると、利用者様も自然に笑ってくれるようになりますよ。
猫をかわいがる介護士と高齢者

その人の「本質」が残る

 認知症になると、新しいことを覚えることが難しくなります。しかし見方を変えると、建前や体裁がなくなり、その人の「本質」が残るようになるのです。

 勿論穏やかな人ばかりではありません。昔から暴力的な人は、認知症になると感情の抑えが効かなくなるので、さらに暴力的になる方もいます。またご家族もほとんど面会に来られない利用者様に接すると「家族とあまり上手くいっていなかったのかな」と考えてしまいます。
 その人の「本質」は、長年かけて培われたものです。職員である私達は、ありのままを受け入れた上で、ケアを行うことが大切だと考えています。

まとめ

 いかがでしょうか。認知症になると、新しいことを覚えることや、記憶力を保持することは困難です。しかし昔のことや身体に染み付いたことは忘れません。また、建前や体裁がなくなり、その人の「本質」が表れるのが認知症だと私は思います。

 私は、認知症の人と関わるのは楽しいです。本音で話せるので、気持ち的に楽だからです。「認知症だからどう接すれば良いか分からない」と悩んでいる人は、ありのままに接してみましょう。コミュニケーションをとっていくうちに、「この人はこうやって関わると良いのだ」と分かるようになりますよ。
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