リハビリテーションをケアマネジメントに取り込む必要性
リハビリテーションの意味とは?
全人間的復権という言葉は介護福祉にたずさわっていれば一度は耳にしたことがあると思います。
分かりやすく言い換えれば「再び人間にふさわしい状態にすること」となります。日々の介護の相談を受けていると、相談者本人や家族の方から「どこかでリハビリをさせて欲しい」という要望を受けることが多いのですが、リハビリテーションのもつ本来の意味、その目的までは一般的にはほとんど知られていないものだと感じます。
一般的な認識としては「運動」つまりは「身体機能回復」という意味で捉えていることがほとんどのようですが、このイメージの背景には病院で行うリハビリテーションが大きく関わっているようです。
確かに骨折や脳梗塞後には必ずと言っていいほどに、リハビリテーションが行われますし、このようなイメージが定着するのも無理のない話かもしれません。
さて、日本障害者リハビリテーション協会、上田敏氏はリハビリテーションに関して以下のように述べています。
「歴史的には、ヨーロッパの中世には、「身分・地位の回復」「破門の取り消し」の意味で使われた。近代に入ると、さらに「名誉回復」「権利の回復(復権)」「無実の罪の取り消し」などの意味が加わった。現代に入ると、教育刑思想に立った「犯罪者の社会復帰」、いったん失脚した政治家の「政界復帰」などの意味が加わった。さらに、人間以外についても使われ、災害後の「復興」、また「都市の再開発」などの意味で使われている。まさに広い意味の一般用語であり、決して医学用語ではない」
(総合リハビリテーションの新生-当事者中心の「全人間的復権」をめざして、より一部抜粋)
しかし、我々介護福祉に携わる専門職はその意味を正しく理解していく必要があります。
超高齢社会、介護予防が求められる現代においてリハビリテーションの重要性、その需要はますます高まっていきますし、特に介護保険の窓口たるケアマネージャーはその在り方を正しく理解した上でケアマネジメントの中に取り込んでいく必要があります。
ICFをケアマネジメントの中に。
ICFとは「国際生活機能分類」のことです。
詳しくはこちらをご覧ください。
ケアマネジメントにICFを活用することの重要性は厚労省でも謳われていることです。
ICFにおける「参加」は社会を指し、人生であり、すなわち生きるための目的と言えます。
次に「活動」は生活を指し、個人であり、目的を達成するための手段と捉えますが、リハビリテーションの考えを上乗せしていくと、人生そのものである社会参加を目指すためには、どのような手段がどの程度あるのか。それを利用者本人のデマンドとも照らし合わせながら、選んで頂き、さらにはそこにはどんな課題があるのか、そしてその上で利用者本人のストレングスを引き出しながら、自らの力で解決を図れるようにしていくことこそが、自立支援であり、ケアマネジメントなのです。
そのためには、リハビリテーションの概念やICFを正しく理解し、広い視野で当人を見つめられるようにもしなければなりません。
まとめ
リハビリテーションの概念や、ICFを取り込んだからと言って利用者本人の課題が一様に解決されるわけではありません。
ですが、地域共生型社会の実現において介護予防、あるいは介護を受けていたとしても、今以上に悪化させないようにしていきながら、それでも本人らしく生きていくためにも、状態像を正確にとらえ、デマンドとニーズを掛け合わせながら、リハビリテーションを行っていかなければなりません。
今現在解決すべき課題は何であるのか。利用者本人が主体的に選択し、解決に向かう事ができるように導いていくそんなケアマネジメントが今もこれからも求められています。