介護職が語る!受け身の方・馴染めずにいる方々に心地よい時間を過ごしていただく4つのポイント
ご自宅におられるお年寄りが初めてサービスを利用されるとき、すぐに馴染まれる方もいれば、なかなか馴染むことができずに時間がかかる方もいます。サービスを利用している間はできるだけ楽しく過ごしていただきたいと誰もが思いますが、ではどうしたらよいのでしょうか。
1. 「自分ならどうなのか」と考える
もし自分が誰も知らないところに連れて来られたらどう感じるのかを考えてみましょう。周りは知らない人ばかりで、とても心細いですよね。おまけに、他の人同志は知り合いで、仲が良さそうに見えてしまい、自分だけがよそ者のように思ってしまいませんか。まして、利用者はご自分の身体を思うように動かすことができず、ただ介助してもらってでしか自分の思うような行動をとることができない状態にあるので、なおさら不安は大きいと思います。
そんな中で、誰かが声をかけてくれたらどうでしょう。「ホッ」としますよね。そのために、わたしたちの声かけはあるのです。わたしたちが声をかけることで、利用者はきっと安心してくださると思います。
2. 利用者も自分たちと同じと考える
利用者はご自宅でわたしたちと同じように、ご家族・地域の中で生活されています。
利用者には、積極的な方、引っ込み思案な方、気の長い方、短気な方など、わたしたちと同じように色々な性格の方がいらっしゃいます。
利用者はわたしたちと同じように、頭の中でいろいろなことを考えて行動されています。
わたしたちと何ら変わりはないのです。同じように、ご自分で色々なことを考えて生活を送っておられるのです。わたしたちはそれをしっかりと意識することが大切です。
3. 「利用者の思いとは何か?」を考える
わたしたちはひとりひとり、物事に対する自分なりの見方を持っています。それを「価値観」といいますが、それはひとりひとり違います。
わたしたちは利用者に接するとき、自分の価値観を通して利用者を見ることになりますが、それはあくまで自分の価値観というフィルターを通した見方ですので、それが正しいとは限りません。
わたしたちの目の前におられる利用者の姿は、その方の生活の中のほんの一部でしかありません。他の時間、他の場所での利用者の様子を見たことがないのに、わたしたちは「この人はこういう人」と決めつけてしまいがちです。わたしたちが見ている利用者が全てではなく、人は色々な面をもっていることを認識することが必要です。
そのうえで「利用者はご自分で色々なことを考えて行動されている」ということをしっかり意識すれば、利用者の思いに寄り添うことができるようになります。
4. 「馴染めないと思っているのは誰か?」を考える
わたしたちは新しい利用者に早く他の利用者と仲良くなっていただきたいと思いますが、それは、わたしたちの思いでしかありません。
これまでお話ししてきたように、利用者はひとりひとり違い、ご自分の考えをもって行動されています。
利用者ご自身が何を思っておられるのかを知ることが大切です。「馴染みたい」と思っておられるのか、「ひとりでいたい」と思っておられるのか、「まだいいけど、もう少ししたら仲間に入りたい」と思っておられるのか、それぞれの思いがあるはずです。こちらの思いではなく、利用者の思いを知って、そのうえでその方なりの馴染み方をしていただけるようにお手伝いすることが必要なのです。
介護のプロとして
介護という仕事は「介護技術」を使ってする仕事です。しかし、それだけでは介護のプロとしての仕事はできません。
介護という仕事は利用者の生活のお手伝いをする仕事です。そこには必ず利用者が存在します。その利用者と接するために使う技術が対人援助技術です。
それは今までお話ししてきたことが基本になります。
- 「自分ならどうなのか」と考える
- 「利用者も自分たちと同じ」と考える
- 「利用者の思いとは何か?」を考える
- 「馴染めないと思っているのは誰か?」を考える
この4つのことを技術として行うことで、利用者の思いに寄り添うことができるのです。