要介護者にとって、自宅で長い時間を過ごす介護ベッド。
睡眠がとれるだけでなく、起き上がり・立ち上がりなどの動作がしやすい機能が求められます。
この記事では介護用ベッドの選び方やおすすめ製品を紹介します。
介護用ベッドと一般用ベッドの違い
介護用ベッドは、要介護者が起き上がりなどの起居動作をしやすいよう、ベッドの背上げや高さを調節できる機能が備わっています。
また、介護をされる方がオムツ交換や体を拭く際に、無理な体勢にならないための用途で使用します。
一般用ベッドにも背上げ機能を搭載した電動ベッドがありますが、読書やテレビを鑑賞するために利用します。
モーターのタイプ・種類
介護用ベッドは搭載されているモーター数によって、電動で可動する部分に違いがあります。
要介護者の状態に合わせてモーターのタイプや種類を選んでください。
【1モーター】起き上がりや立ち上がりを補助
1モータータイプは、背もたれ・ベッドの高さのどちらかが可動します。
自力で起き上がりや立ち上がりのできる軽度の要介護者に向いています。
【2モーター】高さ・背もたれの角度を調整できる
2モータータイプは、背もたれ・ベッドの高さが両方可動します。
立ち上がりや起き上がりに介助が必要な方、オムツ交換などベッド上で介護を受ける方に向いています。
背もたれ・脚部が可動する2モータータイプもありますが、日常生活動作を補助するベッドなら、高さが可動するタイプがおすすめです。
【3モーター】むくみ予防・重度要介護者向け
3モータータイプは、背もたれ・ベッドの高さ・脚部が可動します。
むくみ予防のために足を挙げておきたい方、ベッド上で過ごす時間の長い重度要介護者に向いています。
また、円背のある方(背骨に変形がある方)は背もたれ・脚部の角度を細かく調整して、安楽な姿勢を保てます。
部屋の環境や身長に合ったベッドのサイズを選ぶ
介護ベッドは幅91×奥行191cmが基本ですが、いくつかのサイズを選べます。
部屋の環境や身長に合ったサイズを選んでください。
一般的なシングルサイズで問題なし
身長が150〜170cmの方が利用するのであれば、一般的なシングルサイズ(幅91×奥行191cm)で問題ありません。
寝返りができるスペースも十分なうえ、ベッドサイドから介助をしやすいサイズです。
なお、介護用ベッドのほとんどはパーツを分解できるため、通路が狭くても搬入できます。
設置場所が狭ければショートサイズがおすすめ
設置場所が狭い環境や身長が150cm以下の方が利用するなら、ショートサイズ(幅83×奥行180cm)を選びましょう。
ベッドと壁にすき間がない場合、ベッドの高さを上げると壁が邪魔になり高さ調整ができない場合があります。
狭い部屋にベッドを設置する場合はショートサイズも検討してください。
なお、介護ベッドにはセミダブルなど大きいサイズもあります。
大きいサイズは起き上がりやベッドサイドからの介護がやりにくい場合もあるため注意してください。
安全に介護用ベッドを利用するための付属品
介護用ベッドは、利用する方が安全に利用できるようサイドレール(ベッド柵)や介助バーといった付属品も販売されています。
利用する方の状態に合わせて、付属品を選んでください。
落下防止に役立つサイドレール
サイドレール(ベッド柵)はベッドの側面に取り付けて、ベッドからの転落を防ぐために使用します。
サイドレールはベッド本体に差し込むタイプや、マットレスの下に挟んで固定するタイプなどが一般的です。
サイドレールは引っ張ると簡単に外れるため、立ち上がりや起き上がりの介助用としては使用できません。
介助バー付きなら立ち上がりやすい
介助バー付きのサイドレール(L字バーなど)は、ベッド本体に頑丈に固定して利用します。
そのため、ベッドからの転落防止だけでなく、立ち上がりや寝返りの補助としても利用できます。
介助バーは介護用ベッドとは別に購入・レンタルする必要があります。
食事や小物置きに便利なオーバーテーブル
ベッドに差し込んで利用できるオーバーテーブル。
背もたれを起こして食事をしたり、ベッドサイドの小物置きとして活用できます。
ベッドから居間への移動が難しい方に向いています。
身体に合ったマットレスを選ぶ
介護用ベッドは、取り外しができるマットレスが付属した製品が主流です。
マットレスは硬さや防水機能などに違いがあり、利用する方の状態に合ったマットレスを選んでください。
身体機能に合った硬さを選ぶ
マットレスの硬さは、身体機能に合ったタイプを選びましょう。
身体が沈み込みすぎない低反発タイプがおすすめ。寝返りや起き上がりをしやすく、リハビリもしやすい硬さです。
ベッド上で過ごす時間が長い方は、床ずれが発生しないよう柔らかめのベッドがおすすめです。
防水加工なら汚れにくい
排尿・排便のケアが必要な方は、防水加工のマットレスを選びましょう。
一般的なマットレスは洗濯機で洗えません。マットレスが濡れてしまうと洗浄が大変なので、防水加工が施された製品を選びましょう。
床ずれを予防するならエアマットも検討する
床ずれの予防や治療中なら、エアマットを検討しましょう。
通常のマットレスに比べて、身体に加わる圧力が分散されます。体位交換機能が付いた製品もあり、介護者が体位交換のケアを行う必要もありません。
部屋のスペースが狭いなら折りたたみ式ベッドがおすすめ
部屋のスペースが狭いなら、折りたたみ式ベッドがおすすめです。
ワンタッチで折りたたみができる製品もあり、誰でも簡単にベッドの開閉が可能です。
折りたたみ式ベッドはモーターが付いていない製品もあるため、背もたれやベッドの高さを細かく調整したい方には向いていません。
介護用ベッドのおすすめ製品
介護用ベッドはAmazonや楽天市場といったネット通販でも購入できます。介護用ベッドのおすすめ製品をご紹介します。
sashikei 家庭用介護2モーターベッド
背もたれ・脚部が可動する介護用ベッドです。
通気性に優れたメッシュ素材のマットレス付きなので、床ずれの原因となる蒸れを軽減する工夫が施されています。
sashikei 家庭用介護3モーターベッド
本格的な3モーターベッドです。
フレームには傷に強いメラミン化粧板を使用。長期間の使用でも傷がつかず、綺麗な状態で利用できます。
アイリスオーヤマ 折りたたみ電動ベッド
折りたたみができる電動ベッドです。
背もたれ・脚部が連動して可動。安楽な姿勢に調整できます。サイドレールが付属していないため、別売りで購入する必要があります。
タンスのゲン 折りたたみ電動ベッド
背もたれ・脚部が連動して可動する折りたたみベッドです。
移動に便利なキャスター付きなので、移動がしやすいメリットがあります。
山善 電動ベッド
折りたたみ式電動ベッドです。
マットレスにはメッシュ加工が施されており、床ずれの原因となる背部の蒸れが発生しにくい製品です。
ネルコンシェルジュ 電動ベッド
2モーター式の電動ベッドです。
スマホの専用アプリからベッドの操作ができる最新型。コードレスで操作できるため、リモコンコードの断線による故障がありません。
FLEXISPOT 電動ベッド
組み立て不要ですぐに利用できる電動ベッドです。
手動でベッドの高さも調節できます。電動で高さ調整できないため、ベッドの高さを固定して使う方に便利です。
タンスのゲン 電動2モーターベッド
開梱設置サービス付きの電動ベッドです。
シンプルな木製フレームなので、和洋どちらのお部屋にも馴染みやすいデザインです。
アテックス 電動リクライニングベッド
背もたれと脚部が可動する2モータータイプの電動ベッドです。
立ち上がり用のグリップが付属しており、安全に立ち座りしやすい工夫が施されています。
サン・ハーベスト 電動ベッド
2口コンセント付きの電動ベッド。
携帯電話の充電や照明の利用に便利です。メッシュ素材のマットレスを採用しており、背部が蒸れにくいメリットがあります。
介護保険・一般レンタル・自費購入の違い
介護用ベッドは自費購入だけでなく、介護保険でのレンタルや一般レンタルも行っています。
介護保険の認定を受けると、必要に応じて月額でベッド(特殊寝台)のレンタルが可能です。
低額でベッドを利用できるメリットがありますが、限度額内でしか利用できない点、2〜3割負担だと金額が高額になるデメリットもあります。
一般レンタルは、介護認定を受けていない方でも介護用ベッドを業者からレンタルできます。
介護保険でのレンタルに比べて割高になるケースがほとんどですが、ベッドの故障や交換に応じてくれる点がメリットです。
自費購入は一度購入すれば月額の負担がない点がメリットです。ただし、故障や交換時にはさらに自費負担が必要になります。
介護用ベッドの選び方まとめ
介護用ベッドの選び方やおすすめ製品について解説しました。要介護者は自宅で過ごす時間が長くなるため、快適に過ごせるベッド選びが大切です。
介護者にとってもベッドの機種によってケアのしやすさに違いがあります。モーターや付属品などをチェックして、使いやすい介護用ベッドを選んでくださいね。