生活する中で欠かせない動作のひとつに排泄があります。
年齢を重ねるうちに身体機能が低下し、排泄機能も徐々に低下してしまいます。トイレに間に合わない、トイレまでの移動が難しくなった方のためのツールのひとつがおむつです。
今回は大人用おむつについて、選び方や種類をご紹介します。
大人用おむつの選び方
大人用おむつは、種類こそ多くないもののタイプに応じてさまざまなバリエーションがあります。選び方のポイントとして
- おむつの種類
- おむつの吸収量
これら2つの要素をみながら、組み合わせて選定することが重要です。
種類で選ぶ
大人用おむつには、大きく3つの種類があります。それぞれの利点を理解して使用することが、快適な生活作りのポイントとなります。
大人用おむつの種類について解説します。
自身で立つことができる方にはパンツ式おむつ
パンツ式おむつは下着のように足を通して脱ぎ着するおむつで、リハビリパンツとも呼ばれます。今まで行ってきた更衣動作に近いため、着用者本人での理解もしやすいでしょう。介護を必要とする方だけでなく、ご自身で出かけられるけれどモレてしまうことが心配、といった方にもおすすめです。
ベッドで寝たまま着脱するならテープ式おむつ
トイレまでの移動が困難な方、ベッドでの生活が主となる方にはテープ式おむつがおすすめ。寝たままでも交換しやすく、日常的な排泄介助が楽になります。排泄物の確認もしやすいため、健康状態の目安にもなります。テープの止め具合を調整することで、さまざまな体型の方にも広く対応できるメリットもあります。
肌と環境に優しい布おむつ
市販の紙おむつだと皮膚がかぶれやすい方や、使用後のおむつ廃棄量が気になる方は布おむつと言う選択肢もあります。布おむつ自体には吸収力がないためパッドを用いて、カバーとして布おむつを使用します。繰り返し使えるためコストパフォーマンスに優れ、ゴミも減らせるといったメリットがあります。
吸収量で選ぶ
市販されている大人用おむつには、1回あたりの排尿量をおよそ150ccとして「何回分吸収できるか」という回数で吸収量を表していることがあります。疾患や生活習慣などでも排尿回数や量は変化するため、おおよその指標としてみておくことがよいでしょう。
ちょいモレや予期せぬ失敗への対策には1〜2回分
トイレには自分で行けるけれど、間に合わない時が心配な方には吸収量1〜2回分がおすすめ。水分を吸収するポリマー量も少ないためかさばらず、一般的な下着と変わらないほど薄いおむつもあります。電車旅行や映画館などトイレに行きにくい場合のために持っておけば安心です。
トイレや尿器との併用ができる方には3〜4回分
ご自身で尿瓶や集尿器を使うことができる方や、尿意・便意を感じ介助を求められる方であれば3〜4回程度の吸収量がおすすめです。定期的に交換することで陰部の清潔を保ち、尿路感染症等の予防にも繋がります。体質や疾患等で排尿量が多い方にも向いています。
寝たきりの方や夜間対応には大容量の5〜6回分
たっぷり大容量の吸収が必要なら、5〜6回分吸収可能なおむつを選びましょう。ポリマーが多いぶん分厚くなりますが、ひと晩交換しなくてもよい程の吸収量を誇ります。排泄量に応じてパッドを重ねて使ったり、あて方を適切に行うことで漏れてしまう確率を減らすことができます。
おすすめの大人用おむつ
大人用おむつのおすすめ製品を、種類ごとに紹介します。
パンツ式おむつ
白十字 サルバ やわ楽パンツ
120年以上の歴史を持つ白十字のおむつは、長年培ってきた信用と実績で愛されるロングセラー製品です。
パッドを取り付けやすい広めのギャザーが特徴です。
花王 リリーフ パンツタイプ
初めての方でも使いやすいよう作られているのが花王のリリーフシリーズ。
伸縮しやすいため、片手でも楽に履けるよう設計されています。
テープ式おむつ
リブドゥコーポレーション リフレ 簡単テープ止めタイプ
紙おむつをはじめとした、医療・介護分野での事業を展開するリブドゥコーポレーション。
主力製品であるリフレはバリエーションも多く、さまざまな方への対応が可能です。
エリエール アテント テープ式
ベビー用品や生理用品など、吸水ケア製品を数多く提供しているエリエール。
大人用おむつのアテントは吸収力はもちろん、モレを防ぐ機能がついており介護の手間を軽減します。
吸収量1〜2回
花王リリーフパンツタイプ超うす型「まるで下着」
特許技術を取得した独自の生地を使用し、超うす型ながらも吸収力のある画期的なパンツタイプのおむつです。
布パンツ同等の薄さで、周りの人におむつを履いていることを気づかせません。
リブドゥコーポレーション リフレはくパンツ 軽やかなうす型
リフレの薄型パンツタイプおむつです。おなか部分は伸縮性があり、脱ぎ履きも楽に行えます。
通常のおむつよりも股下の生地をカットすることにより、履いた時のゴワゴワ感が軽減し動きやすいよう設計されています。
吸収量3〜4回
ユニ・チャーム ライフリー 尿とりパッド
テープ式おむつ内側に取り付けて効果を発揮する尿取りパッドです。
おしりにあたる部分に通気性の良いドライシートを採用し、ベッドに寝たままでもムレにくい構造になっています。
エリエール アテント うす型さらさらパンツ
アテントの薄型パンツ式おむつです。
たっぷりの吸収量に加え、脚まわりのロング丈ギャザーが細身の方にもしっかりフィットしモレを防止します。
吸収量5〜6回
日本製紙クレシア アクティ テープタイプ
1300ccという吸収量を誇るテープ式おむつです。
大容量タイプだと排泄物の匂いが気になる方のために、独自の超強力消臭シートを導入し嫌な匂いを無臭化します。
白十字 サルバ 朝まで1枚ぐっすりパッド
サルバのテープ式おむつ用パッドは、なんと12回吸収できる超吸収タイプ。
排尿された瞬間に吸収・拡散する地下水路機能により、尿が肌を伝う不快感を軽減します
大人用おむつの助成制度
大人用おむつは自費購入となり、介護保険制度上の適用となりません。
しかしながら長期間使用する可能性もあり、購入費用が負担となる場合もあります。
大人用おむつについて利用できる助成制度についてご紹介します。
おむつの支給制度
自治体での取り組みとして、大人用おむつの支給制度を導入している場合があります。支給を受けられる対象者については、自治体ごとで要件を定めているため確認しておきましょう。
おおまかには
- 在宅で生活している方
- 要介護状態の方
- 常時失禁状態の方
といった要件を定めている自治体が多いようです。
医療費控除
確定申告を行う際、おむつの購入費用が医療費として認められる場合があります。確定申告時に年間で購入したおむつ代の明細書に加え、医師によるおむつ使用証明書の提出が必要となります。おむつ使用証明書は傷病によりおおむね6ヶ月以上寝たきりであり、常時失禁状態であることが医師により認められた際に発行されます。まずはかかりつけ医に相談してみましょう。
大人用おむつの選び方まとめ
大人用おむつの選び方について解説しました。
排泄機能は年齢や疾患によって低下していくため、誰もがおむつを使う可能性があります。ただ排泄物を回収するためだけでなく、不快感を軽減しその人らしい生活が送れるためのツールとして、よりよいものをお選びください。