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介護タクシーを運転するということ

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介護タクシーを運転するということ

介護タクシー
 わたしたちは普段から友達や家族を乗せて運転しています。だから介護タクシーの運転だって同じなんじゃない?と思われがちですが、これがなかなか一筋縄ではいかないものなのです。今回は「福祉社会の象徴」とも言えるこの介護タクシーの取り扱いについて、お話ししたいと思います。

どんな資格が必要なの?

 介護タクシーの運転手は高齢者や障がい者を乗降介助し、目的地まで送迎して安全なところまでお連れすることで運賃を頂きます。この一連の行為ができるようになるには、
「介護職員初任者研修」(旧ホームヘルパー2級)以上の資格と「福祉有償運送運転者講習」を受ける必要があります。

 「福祉有償運送運転者講習」を受けると、タクシーやバスに必要な普通2種免許がなくても、介護保険の枠組みの中でひとを乗せて運賃を頂くことが可能になります。
 「福祉有償運送運転者講習」では、法令や福祉車両に関する講義、そしてパソコンを使って簡単な運転診断テストを行います。
 後日テストの結果が郵送されるのですが、ヘルパーの経験談でこれがかなり当たっており、運転の癖や性格が丸裸にされてしまうのでちょっと恥ずかしかったのだとか。とはいえ、自分の運転が客観的に分かるので「受講してよかった~!」と実感したそうです。

 これで晴れて介護タクシー乗務員として働くことができます。しかし、介護保険内で送迎できる範囲はかなり限られています(主に自宅からの通院など)。
 買い物やおでかけなど利用者のニーズに応えるためにも、普通2種免許の取得が必須になってくるでしょう。

 この普通2種免許は運転免許センターで「一発試験」で受けることができます。「運転技術と学科試験に自信のある方は、ぜひ「一発試験」をお勧めします。
 逆に自信のない方は「教習所」で時間とお金をかければ、概ね取得できます。
 わたしはというと「一発試験」の学科であっさり落とされたため、これは勉強しなおした方がいいなと仕事の合間を縫って若者と交じりながら「教習所」通いをしました。
 普通免許を取得してから15年も経つと、さすがに運転に変な癖がついていたり、交通ルールを自分の都合のいいように勝手に解釈していたりと目から鱗が落ちる体験ができたのもこの時でした。

介護タクシーを扱うための資質

 「高齢者を乗せて運転するのに気をつけていることは?」現役のヘルパーさんたちに、こんな質問をしてみました。

 「人の命を預かっていることを忘れず、かつ日常に安全な速度で運転し、身体状況を把握して対応しています」
 さすがはゴールド免許保持者のヘルパーらしく、教科書のような答えが!

 他には
 「もちろん運転は安全第一。そして運転と同じくらいに車に乗るまで、到着してから降りて安全なところまで介助することに全神経を使うよ」とリアルな意見も。

 「乗車中に必ず1回は笑わせる。行きつくところはこれかな…」
 という面白い意見もありました。

 送迎はほんの一時かもしれませんが、車内という密な空間でコミュニケーションをとって利用者に少しでも楽しいひとときを過ごしてほしいという優しい思いが感じられました。利用者を乗せていつもニコニコと運転している姿を、わたしは実際によく見かけます。

 とはいえ、乗車されるのは高齢者だったり障がいのある方だったりするわけで、ちょっとした凸凹道の振動でさえ身体に痛みが走ると訴えられることもあります。さらに運転中に突発的なことも起こります。
 例えば、事故渋滞で突然のルート変更を余儀なくされたり、車酔いなど利用者の体調変化に素早く対応しなければいけなかったりといった、臨機応変な判断力がないとやっていけません。
 施設など集団で働くヘルパーとは違い、介護タクシーのヘルパーは一匹オオカミのような「自分の力で行動できる資質」が最も必要だと感じます。そこに当然、利用者に対する共感的理解と安心感を提供できる大きな懐がないといけないのです。
介護タクシーの女性

ひとを乗せて運転するということ

 わたしはそんな強くてかっこいいヘルパーたちのもとで、日々仕事をしていることをとても誇りに思います。介護の仕事は「きつい・汚い・給料が安い」の3k労働と思われがちですが、介護タクシーにそんな言葉は当てはまりません。彼らは「タフで・頼もしい・為になる」3T労働者に他ならないのです。

 しかし、介護タクシーは安いし便利だとすぐに呼べば来てくれると安易に思われたり、逆に5分でも遅れてくると手厳しいご意見があったりするのも現状です。
 「ひとを乗せて運転するということ」は働く側の私たちだけでなく、社会全体の理解と優しさも必要なんだと感じずにはいられません。
 これを最後まで読んでくださったそこのあなた。実はこんなやりがいのある仕事を探していたのではないですか?

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