介護職が語る「老老介護・認認介護」
日本の平均寿命をご存知ですか?
平成27年では、男性81.41歳、女性87.45歳(令和元年簡易生命表)だそうです。そして、その平均寿命は今後も延びていき、50年後には、男性は84.95歳、女性は91.35歳になるといわれています。
平均寿命イコール元気で過ごせる年、というわけではなく、突然の病気や高齢で介護が必要になる場合も出てきます。最近は核家族化が進み、家族間のつながりも薄れたこともあり「老老介護」や「認認介護」のニュースをよく聞きますよね。
老老介護に疲れ果てて追い詰められてしまったり、介護していた相手を手にかけてしまった、という悲しいニュースが後を絶ちません。
そもそも老老介護とは
介護する人も、介護される人も65歳以上の高齢者の場合をいいます。
2019年の国民生活基礎調査によると、老老介護の世帯が約六割に達したそうです。高齢化と核家族化がすすみ、世代を超えて一緒に住むことが少なくなってしまったことも背景には考えられます。
65歳以上といえば元気な方もいますが、体力が落ちてきたり、何かしらの病気をしたことがある方も多いのではないでしょうか?介護する人にも、何かしらの病気や衰えが出てきていることもあります。
老老介護をしている場合、高齢の夫婦のこともありますし、高齢の兄弟同士、また、高齢の親子の場合もありえます。
認認(にんにん)介護とは
介護する人も、介護される人も認知症の場合をいいます。
公益財団法人生命保険文化センターの発表によると、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、約602万人となっており、6人に1人程度が認知症有病者と言えます。このような状況下の中では老老介護かつ認認介護のケースも珍しくないのではないでしょうか。また、2025年には65歳以上の認知症の患者さんは約700万人に増加するとの推計も出ています。
これからますます、老老介護・認認介護の問題は出てくると思います。
老老介護・認認介護にならないようにするには
健康寿命を伸ばそう
「健康寿命」とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことです。
厚生労働省によると、健康寿命は男性は72.68歳、女性は75.38歳(令和元年)だそうです。だそうです。
適度な運動をしたり、毎日の食事をしっかり食べるよう心がけて、健康で元気に過ごせると良いですね。
認知症になりにくい生活をしよう
生活習慣病の予防が認知症の予防にもつながるそうです。栄養豊富な食事と適度な運動をしましょう。やはり、家でじっとしていると、外からの刺激も減り、気分も落ち込んでしまいます。脳トレや社会参加など、ストレスのない範囲でどんどん動いてみてください。
老老介護・認認介護になってしまったら
家庭での介護は、介護の現場で、介護職として働く私たちとはまた違う大変さがあると思います。
介護の経験のない方にとっては、情報を集めるところからスタートしなければいけません。24時間常に介護の必要な場合もあり、介護する側の体力や、ストレスもたまると思います。また、経済的な負担も出てきます。
介護する人の体力的な負担や、慣れない介護によるストレスは、ホームヘルパーを利用したり、デイサービス等を利用することでかなり軽減できると思います。介護される人にも、外からの刺激が得られたり、いろいろな方とお話しする機会が得られるので、プラスになると思います。
老老介護・認認介護という言葉は、私たちが思うより身近な存在になっています。そして、実際にそのような状態になっている方々は、日の当たらない場所で増え続けているのです。
私の働いているデイサービスでも、高齢のご夫婦での利用や、認知症の方の利用、高齢の親子で暮らしている方など、老老介護・認認介護に当てはまる方が何組かいらっしゃいます。
そんな方々の介護によるストレスや負担が減らせるよう、施設やサービスに頼るという選択肢が身近なものになればいいと考えており、私たちは皆さんの生活が、安心で楽しいものになるよう手助けをし続けます。