介護施設の夜勤が辛い?仕事内容の実態と職場選びのポイントを解説
老人ホームや特養など、介護施設でのお仕事を考えている方にとって、気になることの一つといえば夜勤ではないでしょうか。「介護の夜勤は辛そう」こんなイメージを持っている方も多いです。
介護施設の夜勤が辛いイメージの理由
実際働いている介護士さん達の中でも「夜勤はつらい」と感じている方々は少なくはありません。いったい何が辛いのか?その理由を掘り下げてみましょう。
勤務時間が長く体力的にきつそう
夜勤が辛いとされる理由としてよく上がるのが、勤務時間が長いことによる心身の疲労です。
日勤よりも夜勤は拘束される時間が長く、二交代制になると16時間程度職場にいることになります。
休憩時間はありますが、夜勤は少人数体制であることが多く、せわしなく働いた結果休憩時間が取れず、疲労感をリセットできないまま16時間働くことも状況によってはあります。夜勤は多くの人間が寝ている時間に起きて仕事をするので、生活リズムの乱れにより疲労感はさらに増すという意見もあります。
特に施設の人手が足りていなければ夜勤を一人で回すことになり、より体力的な負担が掛かります。
業務量が多く大変そう
日勤帯は多くの職員がいる施設も、夜勤の場合、夕食の介助や就寝の準備を終えた後は「夜間の施設の巡回」がメインになるため、昼よりも大幅に人員を減らされることが多いです。
巡回中におむつの交換や突発的なトラブルの対応などを行う必要がある施設もあるため、そういったことが積み重なれば、夜勤の人手不足もあいまって「業務量が多い」と感じるでしょう。
精神的に辛そう
夜勤中は職員の数が減るということは、トラブルが発生した際は少ない人員で乗り切らなければいけないということになります。最悪の場合、一人でありとあらゆるトラブルに臨機応変で対応しなければならない環境では、精神的プレッシャーをかなり感じてしまうでしょう。
また介護職以外の人々は昼に活動するので、また夜勤をしているとプライベートでも人と予定が合わせづらくなり、それにより孤独感を感じ精神的につらい、という意見も多いです。
介護施設の夜勤は2交代が9割!
日本医療労働組合連合会では、介護施設の夜勤に関する実態調査を行っています。調査結果によると、介護施設の9割が「2交代夜勤」であり、1か月に平均して4.3回夜勤に従事しているというのです。
驚くべきことに、夜勤従事者のための仮眠室が設けられていないという施設も一定数あるとのことです。
これからお仕事をする施設で夜勤がある場合、勤務時間、夜勤を終えた日の取り扱い(そのまま勤務を行う可能性があるか、または休日扱いとなるか)、回数、休憩設備の有無が、身体的・精神的負担に大きく影響するため確認は怠らないようにしましょう。
2交代夜勤の実際とは
ここからは私の実体験を踏まえて二交代夜勤についてお話していきます。
私が実際に介護施設で働いていた時の勤務体制は、やはり「2交代夜勤」でした。午後4時頃に出勤し、まず日勤職員からの申し送りを受けてから夕食の準備を行います。
その後は、日勤職員とともに食事の介助や服薬の確認、排泄介助(トイレにお連れしたり、オムツの取り換え)を行い、午後6時には日勤職員が退勤。ここから翌朝まで孤独な闘いが始まります。
この後特に大きな動きがなければ、就寝、1時間に1回程度の巡回確認、排泄介助を起床時間まで繰り返します。文字に書き起こすと、そんなにやることはない?と思うかもしれませんが、夜勤時間帯は人員が大幅に減ります。
介護施設には人員配置基準が設けられていますが、感覚としては利用者20~25名ごとに夜勤職員1名程度となります。
夕食の準備は日勤職員と一緒に行うことができましたが、朝食前まで、起床、排泄、整容、お茶の準備などほぼ一人で行うことになります。
勤務に入り14時間ほど経過していますので、疲労も蓄積しています。日勤職員の到着は本当にありがたく感じます。最後に、夜間帯の出来事を日勤職員に申し送りをして退勤します。
休憩はとれるのか?休日は?
気になる休憩時間の実態ですが、就業規則では3時間休憩できることになっていましたが、その通り休めたことは少ないです。
私の勤めていた施設では、他部署の夜勤職員と交代で休憩をとることが定められていましたが、一方が休憩をとるということは、一方が他部署の業務もカバーしなければならないため、複数の利用者から呼び出しがあったときに対応が難しくなる可能性もあるため、結果的に仕事を継続しなければならない状況になってしまうのです。
私の場合、寝起きすぐはパフォーマンスが低下するので、なるべく出勤前に寝だめして勤務中は仮眠をせずに業務を継続することが多かったと思います。
唯一の救いは、夜勤を終えた日の翌日1日は休みが保証されていた点です。2連休になったような錯覚で休みをエンジョイしていました。日勤を何日か継続して公休日の前に夜勤がある形で、1か月に行った夜勤回数は最高で7回でした。
夜勤1回を2日分の勤務とすれば、7回で14日となり、日勤の仕事は数回程度になってしまいます。
夜勤の仕事内容
それでは実際の夜勤の仕事内容を詳しく見ていきましょう。
食事の準備・介助
夜勤の場合食事の準備が夕方と朝方に一回ずつあります。
日勤帯と大きく違うのは、夕食は日勤のスタッフもいることが多いですが朝食は夜勤隊のスタッフのみで対応することになります。
服薬の介助
夜の服薬管理も仕事の一つです。持病があるご利用者の健康に直結する大切なお仕事であり、一つのミスが大きなトラブルに発展しやすいです。
服薬管理を行う際は利用者さんの既往歴を把握し、薬を確認する際は「目で見て、声に出して確認する」という方法を取るといいでしょう。例えば、Cさんが夕食後に飲む薬があるとすると、「○月×月、Cさん夕食後」と目視と声に出して確認してから、薬箱に入れます。
そして、服薬の時は他の職員に薬の袋を見せ、「○月×月、Dさん、夕食後の薬いきます」と確認してから服薬するなど、周囲に確認を取りながら作業をすることで、多くのトラブルを防ぐことができます。
排泄の介助
排泄介助の内容としてはおむつ交換、トイレへの誘導が主な仕事になります。
自力で歩ける方はトイレまでの誘導がメインとなり、おむつ介助は自力でのトイレへの移動が難しい方々向けに、おむつを定期的に交換する作業になります。
巡回・安否確認
ご利用者の就寝時間中に見回りをするのも業務の一つです。
おむつ交換や寝返りを打てない方の介助なども行います。
特にご利用者によっては夜間に徘徊してしまうなどの行動をしてしまう方もいらっしゃるので、注意深くご利用者の様子を確認する必要があります。
夜勤のメリット
労働時間も長く、人員配置もシビアな介護施設の夜勤ですが、考え方によっては業務を効果的に行うための時間にも活用できますし、日勤にはないメリットもあります。そんな夜勤のメリットを詳しく紹介していきます。
日勤よりも給与が高い
夜勤手当ですが、相場では一日3,000円~10,000円程度です。介護職の夜勤は平均5回程度なので、単純に約1.5~5万円が上乗せされることになります。
日勤よりも忙しくない
夜勤は突発的なトラブル対応の可能性はありますが、業務そのものは日勤帯に比べて多くはありません。入浴介助やレクリエーションなどの仕事がないですし、ご利用者も就寝中の時間帯なのでご利用者対応も少なめです。休憩時間をしっかりとれる職場であれば、想像していたよりは楽だったと思う方も少なくないようです。
長時間を逆手にとって普段できない業務に集中できる
夜勤中の時間の使い方について実体験をもとに事例を紹介していきます。
まず取り組みたいのが、利用者の経過記録の整理です。介護の現場では、介助に追われ経過記録が追いつかない!ということも多々あります。
より良いケアを目指していくためには、日々の利用者の状況を正確に把握して、定期的にモニタリングする必要があります。
日々の利用者とのコミュニケーションや嗜好に関することなどは、利用者も寝静まった夜間に集中的にまとめるというのも手法の一つだと思います。
ただし、食事や水分の摂取量や排泄の有無、病気に関わる身体状況の変化などは後々体調が悪化したときに記録が抜けていると大問題になってしまうのですぐに記録しましょう。
次に備品の補充やメンテナンス、行事の企画などです。これらも、日勤時間帯に行うこともできますが、利用者の対応などで中断されがちで意外と時間のかかるものです。
コンビニなどでも夜間帯に清掃や商品補充が行われるように、介護の現場でも夜間帯に翌日以降に行う備品の確認や補充、行事の企画などを行っておくことで、日勤業務がより円滑に行われることが期待できます。
皆がこのような姿勢で動いていくことができれば、最終的には自分の負担も減っていきます。
夜勤で働く勤務先の選び方・注意点
夜勤の辛さは施設の種類や設備によって大幅に変わってきます。
夜勤の求人を探すときは下記の点に注意して、働く施設を選びましょう。
夜勤手当の有無
夜勤手当はお給料に影響を与える、非常に重要な手当です。
法律上、深夜勤務の割増賃金を払うことはルールですが「夜勤手当」があるかどうかは施設によります。夜勤手当があることを当然に思って転職をした後に、夜勤手当は付かない職場だったことを知っても遅いです。
多くの職場は夜勤手当がありますが、転職をする際は事前に手当などの条件はよく施設側と確認するようにしましょう。
仮眠室、休憩室の有無
施設に休憩室や仮眠室があるかも重要です。睡眠をとる場所がそもそもなければしっかりと休むことができず、その疲労感が業務に支障を及ぼす可能性があります。
きちんと休むための専用の場所があるかどうかは、快適な夜勤業務に関わってきますので、こちらも併せて確認しましょう。
夜勤の勤務時間や回数を確認
そもそも夜勤にあまり入りたくない方もいれば、積極的に夜勤をしたい方もいるでしょう。
夜勤の平均回数は平均五回ですが、施設種類や人員によって異なります。
夜勤を避けたい場合はデイサービスなどの基本日勤のみの仕事を選ぶと良いですし、夜勤でしっかり稼ぎたいという方は、夜勤専従などの働き方を考えてもよいでしょう。
介護施設の夜勤が辛いときは転職を考えてみる
とはいえ、どうしても介護の夜勤が辛く辞めてしまいたいと思いながらお仕事をしているのならば、より良い職場を探して転職をすることをお勧めします。
介護の求人を探すうえでオススメの転職サイトを紹介します。
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まとめ
介護施設の夜勤は、少ない人数で利用者の安全を確保する大変負担の大きいものですが、慣れれば有効に時間を使えますしメリットも多くあります。
まだまだ介護は必要な時代です。介護職としても、できる範囲で職場環境について考え、助け合っていく心が必要だと感じます。